赤ちゃんのうんちが出ません!
33歳のお母さんからの質問
「ミルクをあげているのですが、うんちが1日1-2回しか出ません。便秘でしょうか?」
赤ちゃんのうんちのペース、すごく悩みますよね。一般的には1日4回〜6回と言われるけど、「私の子は1日1回しか出ないな」と不安になるのはすごく気持ちがわかります。便秘だったら治療した方がいいのかな、でも個性の範疇なのかな、などなど。
赤ちゃんのうんちの質問は、私が実際に健診をしていてもよく聞かれます。場合によっては、医師の説明が十分に理解できないことがあるかもしれません。そうすると、「結局どうすればいいのか」「なんでなのか」とモヤモヤするかもしれません。
今回は、そんな悩みが少しでも軽くなるように説明していこうと思います。このブログを読むと以下のことがわかります。
- 哺乳の仕方で赤ちゃんのうんちのペースは変わる!
- 赤ちゃんへ綿棒刺激や浣腸をするタイミング
- 綿棒刺激や浣腸のあれこれ
- 病院で診てもらうべきタイミング
- [★もっと知りたい人へ]どうしてミルクで赤ちゃんのうんちが変わるのか?
最後の方で、ミルクの種類でうんちの硬さが変わるのか解説しています。では診ていきましょう!

哺乳の仕方で赤ちゃんのうんちのペースは変わる!
一般的によく言われる赤ちゃんのうんちのペースは「母乳だけで育てている子」のペースです。母乳栄養の子の場合、うんちは1日平均4-6回ほど、ミルク栄養の子は1日平均1-2回です。また、母乳栄養の子の方がうんちが柔らかめで、ミルク栄養の子はうんちが硬めです。ちなみに、混合栄養(母乳とミルクを併用する子)の場合は、間くらいの1日平均2-3回ほどとなります。
では、母乳栄養の子はうんちで心配はないのか?というと、悩んだことがある方もいるのではないでしょうか。実は、不思議なことに母乳栄養の子の3人に1人は、突然3日ほどうんちが出なくなる、というのを経験することがあります。理由は諸説ありますが、腸での吸収が良すぎてうんちとして出るものがない、という可能性があり、あまり心配がいらないことが多いです。
また、離乳食が始まると腸内の細菌バランスが変わりうんちが硬くなっていきます。4歳ごろまでには1日平均1-2回のペースに落ち着くと言われます。
赤ちゃんへ綿棒刺激や浣腸をするタイミング
1日の平均回数を知ってまた一つ賢くなりましたね。とはいえ、実際に目の前のお子さんを見ると、「顔真っ赤にして気張ってる気がするな」「お腹張ってるのか苦しそうだな」「ちょっとうんちの回数が少ない気がするな」といった心配が出てくると思います。そんな時に自宅でもできるのが①綿棒刺激②浣腸です。
まずは綿棒刺激や浣腸をするタイミングについて説明しましょう。次のタイミングで行うことをお勧めします。
- ミルクの飲みがイマイチな時(特に普段の半分でやめるのが続いた時)
- 10分以上いきんだり、そのせいで不機嫌が続く時
- お腹のハリが強い時
ミルクの飲みが少ないなと感じる時、胃や腸にガスが溜まっているせいで飲みにくい可能性があります。その時は、一回ガスを外に出してから再開すると普段通り飲めるようになることも少なくありません。
胃のガスは脱気(=ゲップ)して出すことができますが、腸までいったガスはゲップでは出ません。そのため綿棒刺激や浣腸を行い、お尻から「オナラ」として出してあげると楽になることが多いのです。
綿棒刺激や浣腸のあれこれ
次に綿棒刺激や浣腸に馴染みのない方へ、Q&A形式で回答していきます。
Q. 綿棒刺激はどうやったらいい?
A. 下記の方法を試して見てください。
① 綿棒の先にワセリンやベビーオイルを塗ります
② ワセリンなどを塗った綿棒を赤ちゃんの肛門に1-2cmほどゆっくり挿入します
③ 優しく円を描くように回します
④ 数周回したら終了します
Q. 浣腸には何を使ったらいい?
A. 市販の赤ちゃん用のイチジク浣腸が有効です
https://item.rakuten.co.jp/doremi/4987015011411_2zaiko
Q. 綿棒刺激や浣腸は何回までしてもいい?
A. 決まりはないですが、1日1-2回までが目安です
病院で診てもらうべきタイミング
次のような場合は、小児科でチェックしてもらうことをお勧めします。
- 体重増加が少ない、体重が増えないとき
- 綿棒刺激や浣腸をやっても全く出ない時や、やってるのにお腹のハリがどんどん強くなるとき
- 週3回未満の排便が1ヶ月以上続くとき
特に1ヶ月までの場合、体重が1日あたり25g以上増えるのが目標です。毎日必ず25g以上増え続ける必要はありませんが、2週間おきのチェックで体重の増え方が目標に辿り着かなかった場合は小児科でチェックしてもらうことをお勧めします。
[★もっと知りたい人へ]
どうしてミルクで赤ちゃんのうんちが変わるのか?
さて、赤ちゃんのうんちについて、少し詳しい話をしていきましょう。
もうご存知の通り、母乳で育てている子とミルクで育てている子では、うんちの性状やペースが違います。その違いをざっくり言うと①母乳とミルクの成分の違い ②母乳栄養の子とミルク栄養の子の腸内細菌の違いです。
母乳には、オリゴ糖(HMO:Human Milk Oligosaccharide)という成分が多く含まれています。このオリゴ糖は免疫力の向上や脳神経の発達に関わっていると言われますが、それ以外にも、腸内の善玉菌であるビフィズス菌の餌になる物質でもあります。母乳栄養の子は、生後2週ごろからビフィズス菌の割合が増えていくぶん、うんちが柔らかめになると言われています。
また、このオリゴ糖は腸管を刺激してより活発に動かしたり、便の水分を多めに保ったりする効果もあります。そのため、母乳栄養の子はうんちが柔らかく、うんちの回数も多いのです。

対してミルク栄養の子の場合、粉ミルクに含まれる脂肪分の一種であるsn-1パルミチン酸がうんちを硬くする効果があります。普通の粉ミルクの場合HMOは含まれないため、ビフィズス菌も母乳栄養の子ほどは増えないため、その分硬めになり、うんちの回数も少なくなります。
実は現在、うんちをより柔らかくする「scGOS/lcFOS」という成分が入ったミルクが販売されています。この成分はHMOに近づけた脂質で、研究でもうんちを柔らかくする効果が出ています。その成分が含まれたミルクの例を下に挙げます。
・森永「はぐくみ」
https://item.rakuten.co.jp/gramsky/gram00jwk4uu0
・森永「チルミル」
https://item.rakuten.co.jp/beisia/4902720144964
・アイクレオ「バランスミルク」
https://item.rakuten.co.jp/matsukiyo/4987386070239
また別の研究では、sn-2パルミチン酸という成分でうんちの硬さを柔らかくする効果が示されたという報告もあります。それが含まれているミルクが以下のものです。
・アイクレオ「バランスミルク」
https://item.rakuten.co.jp/matsukiyo/4987386070239
・アイクレオ「グローアップミルク」
https://item.rakuten.co.jp/amuro-express/6o5a76lni6g2c2pdf4udxbpo7a
ここまで、赤ちゃんの母乳やミルクとうんちの不思議について理解して来ました。僕自身もこの内容について勉強して、赤ちゃんへの理解が更に深まりました。
ここまで読んでくださりありがとうございました。また次回、お会いしましょう。
<参考文献>
1. Bergström A, et al. Nature Communications. 2018.
2. Bäckhed F, et al. Cell Host Microbe. 2015.
3. Vandenplas Y, et al. Acta Paediatrica. 2019.
4. Yao M, et al. J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2014.
5. Scholtens PAMJ, et al. World J Gastroenterol. 2014.
6. Szajewska H, et al. ESPGHAN Position Paper. J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2026.
7. ネルソン小児科原著第21版
